アメリカ人は国旗・国歌をとても大切に思っています。 たぶん、ほかの国でもそういう国の方が多いと思いますが、私は日本とアメリカにしか住んだことが無いので、自分の実体験から物を言うと、こういう言い方になってしまいます。
東海岸での話。
日本人の方々とメジャーリーグの試合を観に行ったことがあります。
その中に、アメリカの有名大学の大学院に通っている方が何名かいました。
いずれも政府から派遣されて勉強をされている、外交官などの公務員の方々でした(数年の経験しかない20代半ばの方ばかりでしたが)。
メジャーリーグを観戦したことのある方はご存知だと思いますが、試合の前にアメリカ国歌の斉唱があります。 斉唱に先立ち起立を促すアナウンスが入ります。 起立をしないアメリカ人は、車椅子を利用している方を除いて、100%に近い確率で存在しません。
起立が確認されると、たいがいは有名歌手による国歌斉唱が始まります。
斉唱している間、歌手とともに小さく国歌を口ずさむことはあっても、たいていの観客は、静粛に国歌に聴き入ります。 例外は後半の喝采だけです。 歌手は、最後の歌詞O’er the land of the free and the home of the brave?の、‘free’の部分を、非常にゆっくりと伸ばして歌うことが多く、その場合は必ずここで喝采が起こります。 この部分以外は、静粛に聴くのです。
もちろん、会場に来た全員が、国歌斉唱は絶対に聴くべし、と思っているわけではなく、食べ物や飲み物を買いに行ったり、トイレに行ったり、結構好き勝手にしています。
しかし、席についている人達は、きちんと起立して、静粛に聴くのです。
ちなみに、国歌が始まると、基本的に会場の出入りはストップします。 中に入りたい人は、戸口で国歌斉唱を聴き、外に出たい人は起立して国歌斉唱を聴いてから、外に出ます。
これは礼儀うんぬんというより、アメリカ人にとっては、もはや体に染み付いた習慣とか常識のレベルなので、たとえアメリカに来たばかりで、初めてアメリカ国歌斉唱の場に立ち会う場合であっても、雰囲気で一発で分かります。
私が非常にショックを受けたのは、一緒に観戦していた大学院の方々が、起立はしたものの、斉唱が始まっても誰一人として静かにしなかったことです。 誰一人、です。 声のトーンを落とすことすらしませんでした。
日本人大リーガーを観に、初めてメジャーリーグを観に来た人もいたので興奮していたのでしょうし、また、お腹も減っていて、試合が始まる前に腹ごしらえをすべく、何を買うか盛り上がっていたところだったようです。
しかし、歌が聴こえ始めたのにしゃべるのを止めない、というのは、どういうことでしょうか。 しかも、前の数列のアメリカ人のおばちゃん・おじちゃん達が睨み付けても、おしゃべりは止まりません。
数人の白人のおばちゃん達の形相が、あまりに激しいものだったために(まさに、下品で汚いものを蔑む表情)、これはまずい、と思った私は、とっさに口に人差し指を立て、「Sh!」と言いました。
ご存知の通り、これは日本語の「しっ!」(=静かにしなさい!)に相当する言葉なのですが、通常は小さな子供に使われるもので、大人に使うのは失礼です。
しかし、日本語と英語双方の音が近い上に意味が同じなので、しゃべっている日本人だけでなく、周りの全ての人々に、「静かにしなさい」と内部の人間がたしなめている、ということを分からせることができることから、とっさに選んだ言葉でした。
私が「Sh!」と言ったのを確認した白人のおばちゃん達は、彼らを子ども扱いすることに躊躇がなくなったようで、次々と口に人差し指を立て、口をすぼめて「Sh!!」と声を上げたのでした。
さて、言われた彼らがどうしたか。
元来、頭も良く、素直に育っている彼らは、しゃべるのは止めてくれました。 が、「え?なんで?」という不思議そうな表情でした。 純粋に驚いてさえいるようで、恥ずかしい事をしていたんだ、という意識は見受けられませんでした。
残念ながら、彼らは突出して異常な人々ではありません。 私はどこに行っても、日本人グループを見つけた場合、彼らの行動を見ているのですが、国歌斉唱の時に静粛にしない日本人グループは極めて多いのです。
理由は様々考えられるのでしょうが、私は、以下の理由を考えています。
① 国旗・国歌を大事にする教育を受けてきていない。
② 周りの雰囲気を読む能力が、実は低い人が多い。
上記の2つの理由については、記事を改めて、それぞれ述べたいと考えていますので、今日はひとまず筆を置きます。